海が願った。
自分が生きた証として、小説を書いて欲しいと。
ーーだって理子、本読むの好きでしょ。書けるって。
そう簡単なことのように海が提案するから、絶対に無理だと断った。
けれど私は海が亡くなったその日から、狂ったようにペンを持ち、原稿用紙に殴り書きを始めた。
掌の皮が剥けるくらい強く握ったペンで、何日も何日も書き続けた。
海との思い出を紙に閉じ込めるかこように、想いを込めて。
食欲などわかず、涙は枯れ、高校に行くこともせず、ただただ物語を紡いだ。
【BLUE GIRL】を完成させて、
世の中の人の背中を少しでも押せたらいいな。
それが海が私へ託した最後の願いだった。
ーーだからね、理子。
物語の結末は、
未来のあるハッピーエンドにしてね。
絶対だよ。
そう何度も、海は言っていた。


