BLUE GIRL


確かに今時の若い男性は細い方も多く、Tシャツの上からも鍛えていることが伺える。ユウが歩いていても長い足が映えるが、芸能人が電車に乗っているなんて思いもせず、みな気に留めていないようだ。


「なるほど。みんなの先入観を逆手にとった行動ですね」


「意味分かんね。お前、ちょっと付き合えよ。腹減った」


「はい?」


乗るはずの電車とは違うホームに背中を押される。

抵抗して目立つようなことはしたくないけれど…。


「ねぇ、こういうのスキャンダルって騒がれるんじゃないの?」


朝のワイドショーでユウと顔にモザイクのかかった女性が報道されている場面を何回も見た。
その度に"また違う女性なんだ"そう何気なしに見ていた。


「騒ぎたければ勝手に騒いでろ」


「事務所は何も言わないの?」


人目を気にしながら強気の彼に問う。

いくら眼鏡をかけて帽子をかぶっていたって、近くで見たら水城優矢だと気付くだろう。