BLUE GIRL



他のキャストも交えての読み合わせは、やはり実力の差を思い知った。

つっかえながらの私と、抑揚をつけて感情を込めたプロとの差は歴然だった。


肩を落としながらエレベーターに乗る。
私を励ましてくれた雪乃さんとは地下の駐車場で送迎車を待たせているからと、エレベーターで別れた。



座って台本の文字を読み上げる雪乃さんの聞きやすい声と、流れるような自然な台詞回しは完璧だった。


今すぐこの気持ちを誰かに話したいがRyoはツアー中ですぐには会えないし、美島さんは新しい本の出版が控えているようで徹夜続きと言っていた。


お酒が飲める年齢ではないけれど、こんな日にはやけ酒したい気分だ。


まだ午後3時。ふて寝するには早いよね。



「おい、」


背負っていたリュックに重みを感じて、振り返る。


「真っ直ぐ歩けよ。邪魔だぞ」


待って。
なんであなたが…。