椎名雪乃さんが現れるとすぐに監督が駆け付けて、彼女に労いの言葉をかけた。
多数のオファーがある中、スケジュールを調整して【BLUE GIRL】に出演してくれるという。そして彼女もまた【BLUE GIRL】のファンだと言ってくれた。
「私のことは雪乃でいいわ。私も羅依さんでいいかしら?」
「はい!」
雪乃さんはとても落ち着いていて私とそう年は変わらないと思うが、大人な女性に思えた。
「【BLUE GIRL】に出演できて大変嬉しく思います。一緒にいい作品にしましょう」
「はい!」
こくこくと頷いていると、横腹にユウの肘が当たった。
「おまえさっきから、"はい!"しか言ってねぇぞ」
私の言い方を真似てみせたユウの足を踏みつける。
「こんな可愛い人を目の前にして、どう接しろと?」


