指切りなんて子供っぽくて、
思わず笑ってしまった。
「早くしろよ」
拗ねたようにそっぽを向いたユウが可愛く見えるだなんて、おかしな話だ。
「分かりましたよ。はい、約束」
磨かれた綺麗な爪を羨ましく思いながら白い指に、日に焼けた私の指をそっと絡ませた。
触れているのは小指の部分だけなのに、身体中が熱をもつ。
「俺は全力でリョウになる」
お金の為に、ここまで真剣になれるものなのだろうか。本当に彼の原動力はお金?
「おまえも協力しろよ。まぁ、おまえの演技指導なら俺に任せろ」
「ありがとう」
繋いだ指を左右に揺する。
目尻にシワを寄せて笑うユウにつられるように私も笑顔になる。
業界の評判が最悪なユウではあるが、熱く優しい人のように思えた。


