時間ちょうどに戻ってきたユウは泣きはらした私を見て、頭を撫でてくれた。
静かに隣りに座ったユウに手紙を返す。
「最後まで読めた?」
「うん。いつ、受け取ったの?」
「うちの郵便受けに入ってた。慶斗(けいと)…うちの兄とはずっと連絡を取り合ってたみたいなんだ。それから1年くらいして、【BLUE GIRL】のことを知った。さすがにあれだけ話題になれば、俺の耳に入るし、主人公の名前が海だということも知った」
まさか。
もしかして。
「それで、【BLUE GIRL】のオーディションに?」
「兄貴が子役をやっていて成り行きで俺も芸能界に入った。兄と共演することは俺の夢だったけれど、病気になってしまって…たまたま数日入院した海と知り合った。その時、兄と海と約束したんだ。病に戦う彼らと同じように俺も、芸能界で努力すると」
寂しそうに、懐かしそうにユウは語る。
「【BLUE GIRL】が実写化したと聞いて、オーデションに行くことに決めた。人生で1番緊張したオーデションだよ。ーーそして、俺は海の親友を見つけた」
「もしかしてこのイラストで?」
「似顔絵、よく描けてるし。それに海が親友に自分のことを書いてと頼んだのなら、それは作者の羅依が海の親友ということになる」
知らなかった。
なにも、知らなかった。
まだ心臓が驚きの音を刻んでいた。


