何度も咳き込み、やっと息を整えてユウを伺うと、

彼は地面にしゃがみこみ、下を向いていた。



「ユウ?」


「おまえの発言、俺には」


顔を上げて前髪を掻き上げたユウは子供のように尻餅をついた。



「おまえが俺のこと好きだって言ってるように聞こえるんだが」


「……」


さらけ出した本音。


我に返ると、ひどく恥ずかしい。



「最初のように強引に迫れば、俺の女でいてくれるってこと?」


「………たぶん」



ユウは子供のような体勢で、私を見上げていた。



「けど、残念。俺はもうおまえに命令しない。おまえの命令なら、どんなことでも聞くけどな」


「……」


「言ってみろ、おまえの望みを。俺が全て叶えてやるから、勇気を出してごらん」


風向きが変わる。
私の背中を押すほどの強い風が吹いた。


不思議とその風は、海の大好きだったスイートピーの香りがした。