「今日は薬も効いて気分がいいの」


「良かった。なにか欲しいものあったら買ってくるよ?」


「いらない。リョウが傍にいてくれれば、なにもいらない」


雪乃さんが起き上がり、ベッドに腰掛けるユウの胸に顔を埋める。


「私は、幸せだよ」


「俺も幸せだよ」


「私、長生きしてもリョウに愛されない人生よりも、短い命でもリョウに愛される人生の方がいいの」


「短い命?ありえない。これからも僕たちはずっと一緒にいるだよ。海は僕に愛されて長い人生を歩むんだよ」


「そうだよね。そうだと、いいな…」


お見舞いに来た理子は寄り添う2人の邪魔をせず、扉を開ける手を止める。


「例え天国に行っても、ずっとリョウと理子のことを見守っているから。2人で助け合って生きてね」


「……そこに海がいないと僕はダメだよ」


「んっ、…」


ユウが雪乃さんの唇を荒っぽく奪う。

けれど徐々に優しいものへと変わり、ゆっくりと口づけを交わす。


そんな2人を見て理子は微笑み、病室を静かに立ち去るのだ。






目の前で繰り広げられる光景は、
海とリョウのものであるのに。


雪乃さんとユウの唇が何度も何度も重なる光景に、上手く微笑むことができたか、自信がなかった。





ーーこうして、原作と同じラストで映画【BLUE GIRL】の撮影はクランクアップした。