朝の爽やかな風を受けながら、Ryoのお弁当を広げる。まだそこまで気温が上がっておらず、気持ちが良い。


甘い味つけの玉子焼き、タコさんウインナー、唐揚げ、3週類の味付けのおにぎり。


忙しい合間に私のためだけに作ってくれたお弁当を凝視する視線に耐えられなくなり、お弁当箱を差し出す。


「少しだけなら分けてあげても良いですよ」


「野郎の手作り弁当なんていらんわ」


「Ryoの手料理は最高なんですよ!そりゃぁユウのお家のお料理は美味しいですけど、Ryoのもーー」


拒否しておいて、ユウは手掴みで唐揚げを頬張った。


「…いただきますくらい言ってください」


「……まぁまぁだな」



お弁当を食べるために屋上に行くと、既にユウはベンチにいた。
控え室で休めばいいものを青空の下、仮眠をとっていたようだ。

寝癖つきの無造作な髪に、眠たそうに目をこするユウは新鮮だった。


「うちは両親が共働きだったので、いつも私の分のお弁当をRyoが作ってくれていました」


「奴のそういうところに惚れてたわけか」


「え?」


危うく掴んでいたウィンナーを落としそうになる。


「おまえ、Ryoのことが好きなんだろ」


唖然として手掴みで玉子焼きを口に運ぶユウを見ていた。