そっと、目を閉じる。
先程まで聴いていた【BLUE GIRL】の主題歌が脳内で流れる。
「海の願いは【BLUE GIRL】を出版して、自分が頑張れたように誰かの背中を押すことだよね。理子のおかげで【BLUE GIRL】は等身大の海を描き、多くの人に伝わったと思う。理子は海の願いを全て叶えたんだよ。ーー胸張って、今度は理子が幸せを見つける番だ」
常に後ろ向きであったRyoの発言とは信じがたい。
「僕たちが不幸せなことに、海はきっと胸を痛めているよ。理子、海のいない世界にも幸せはきっとあるよ」
「そんなものはないよ!」
「海が見ることができなかった未来を、ただやるせなく過ごすことは、他の誰よりも海に失礼なんじゃないの」
「……Ryo、」
「それ食べて元気出して撮影に臨んでね。頑張って」
「ありがとう」
【BLUE GIRL】の主題歌を制作する過程でRyoが海との過去と向き合えたのなら良かった。
Ryoの幸せこそが、
ーー私の幸せなのだから。


