嫌そうに目を細めたユウの脇腹を原田さんか突っつく。


ちっ。
軽い舌打ちの音がした。


「…………………励め」


!?

間をたっぷり空けてからの言葉にしては短く、随分と上から目線だ。


感動して涙腺が緩みかけていた私の頭が一気に冷める。


「ユウらしいな。さあ、記念撮影をしよう」


監督がカメラマンさんを呼び、廊下に3列で並ぶ。




私の日常の主役はいつも海だった。

キラキラなオーラを放つ海の片隅でじっとしている冴えない私が主役になる日なんて来るはずないと確信していたけれど、


【BLUE GIRL】をきっかけに、世界がガラリと変わった。


それも、良い方にーー


このままで、いいのだろうか。




私は羅依であり、理子であると打ち明けずに黙っていて良いのだろうか。


映画【BLUE GIRL】を良い作品にしようと全力でいてくれる、キャストやスッタフを裏切っていることになるだろう。


本当に、このままで良いのだろうか。




写真の中央でケーキを持って笑う辻崎理子は、本物の私であるかを疑うくらい活き活きとしていた。