BLUE GIRL


海が亡くなって、私は感情を捨てたはずだったのに。


たった1日で、恥ずかしさと、怒りと、嬉しさと。渦巻く感情を止められなかった。



「ユウさん、」


声を掛けても彼にはもう聞こえない距離だ。

廊下を歩くユウの後姿に見惚れる。


その後姿は、海の恋人、リョウと重なるものがある。


デビュー当時から常に金髪で、"金髪王子"と称されていたユウは金色以外に染めることはなかった。


それなのに今日打ち合わせに現れたユウは違和感のない黒髪で、前髪長めで後ろは外ハネをした、リョウの髪型と一緒だった。


半袖から覗く筋肉。
元々細身のユウが身体作りをして来てくれたことは明らかで、
決して遊びで【BLUE GIRL】に参加しているわけではないことを証明していた。


だから、私もーー

その思いにつられるかのように、理子役の出演を受け入れた。