海の誕生日、Ryoを待っていたあの雨の日、 私の誕生日を一緒に祝ってくれると言っていたけれど。 ただの口約束だったし、まさか覚えていたなんてーー 「どうして私の誕生日を知ってるの?」 「おまえの保険証を見たから」 「ああ、それで…」 「なんかリクエストあれば聞く」 偽恋人であるのだから、私に気を遣わなくてもいいのに。彼なりの配慮と優しさに、惑わされる。 「じゃぁ、高級レストランで」 「おまえ、らしくないな」 「そう?」 「レストラン予約しとく」 ありがとう、と素直に返せなかった。