駐車場に向かう雪乃さんと別れ、表に出る。
もう夕方だが蒸し暑さと、寝不足で歩くことも辛い。
「日傘も持ってないのかよ」
どこから現れたのか、いつの間にか隣りに立ったユウはサングラスをかけていた。
「また電車で帰るの?暑いから車で帰ればいいじゃない」
「冷たいものでも食って帰ろうぜ」
「嫌だよ、寝不足なの。早く帰りたい」
「まぁ確かにな」
そう言いながらユウも欠伸をしていた。
特別な会話もなく、駅までの道をなるべく日陰を辿って歩く。
「それじゃぁ、また明日ね」
ユウとは反対のホームに続くエスカレーターに乗る前に一応、挨拶をしておく。
しかし私を無視し、挨拶すら返さない。
「感じ悪い…」
「あ?」
「え、あなたは反対でしょう?」
一緒にエレベーターに乗ったユウはまた欠伸をした。
「…送ってく」
「なんで?」
「ほら、電車来るぞ。急げ」
いったいどういう風の吹き回しだろう。
涼しい車内に乗り込んで、ユウを凝視する。


