「あの!今の、なんでしょうか!!」
冷静な目をして距離をとったユウへの照れ隠しに、抗議を連ねる。
「みんながユウにキスされて喜ぶと思ってます?今のキスに、寒気がしました!気持ち悪い!」
動揺しているなんて悟られたくない。
余裕な顔をして立っている男を睨みつける。
「顔が真っ赤かなのは怒っているからじゃないと思うけど」
不本意な行為をした男は、甘い雰囲気を出すどころか冷たく言い放った。
「どうせこれから先も、おまえに男なんてできやしねぇよ」
「はぁ?…ちょっと、逃げる気?」
「休憩終わるぞ」
不敵な笑みを残して立ち去ったユウの後ろ姿に、何故か笑いが込み上げてきた。
私は芸能界に疎く、あまりドラマや映画を率先して見ないけれど。水城優矢の全ての出演作品を見た。
それこそほんのワンシーンしか映っていない映画でさえも見ている。
海が、水城優矢の大ファンだったからだ。


