呼び捨てかよ、とユウは鼻で笑う。
「どうせ観客は俺しか見てないよ。理子がブスだろうが大根役者だろうが、気にも留めないから安心しろ」
「はぁ?」
イケメン相手に私は今、ものすごく不細工な顔をしていると思う。
「芝居の練習ならいくらでも付き合ってやるよ」
「え?」
一気にコーヒーを飲む彼を凝視する。
ユウが投げた空き缶は綺麗に弧を描いて見事にゴミ箱に入った。
「でもあなたは売れっ子で、私に付き合う時間なんてないでしょ」
「あ?時間は作るものだろ」
ユウが私に一歩、近付く。
そして私の横の壁に手をついた。


