BLUE GIRL


どうしよう。
どうしよう。

突如打ち合わせ中に、理子役を勧められて無理だと言い張ったが、演技力よりもイメージを大切にしたいと監督が主張し、スタッフも満場一致で私を理子役にと大賛成してしまった。

スタッフに伝える気はないが、
そもそも私は理子本人であり、似ていることは当然だ。


私は作家だし演技はできないと声を張り上げても、周りは期待の目を向けてきた。



考えてみてと言われたけれど、
いくら考えても答えは変わらないよ。



廊下で窓の外を見ながら溜息をつく。


演技なんて、無理だ。
けれど心のどこかで理子役を他の誰かに譲り、イメージを壊される恐怖も感じている。



「…やってみれば良いじゃん」


背後で缶ジュースのプルタブが開く音がして振り返る。


廊下に立ち、コーヒーを飲んでいるだけで絵になる男。


「ユウ…」