キミだけが知らない想い

放課後ー

いつものように体育館で練習を始めた。

クゥゥ酷…体がキツい、いや、周りから飛ぶ黄色い歓声に苛立つ。

私は思いきりドリブルをすると、なげやりにボールをゴールに叩きつける。

案の定そんな投げ方で入るわけもなく、舌打ち。

「くそっ!何で入ねぇんだよ!」独り言が虚しく体育館に響いた。

「こーら、そんな投げ方したら入るわけ無いでしょ?」と私のところに来たあっ君はそう言って私の頭を優しく撫でた。

「糖分足りてないのかな~?それとも…カルシウムか?」と笑いながら言ったあと、私の耳元に口を寄せると、

「…もしかして…俺が足りてない?」なんて甘い声で囁くの。

こーゆうところずるいよね!ほんとに。

私は顔を赤くしながら「…べっ…つに、そんなんじゃないわよ!」と言うと、楽しそうに笑っていた。

「そろそろじゃぁ休憩なぁ!」とあっ君は言いながら休憩に入った。

何で私はいつも?あっ君にこんなに弄られてるんだろうってたまに思うけど。

休憩に入ると、いつもの優斗が鬼発動。

「何度も言わせんな!俺は貴重な休憩時間をMAXで休みたいんだ!さっさと渡せと言ってるだろ!タオルと水!」とマネージャーにキレる優斗。

「いい加減にしなさい‼」と私は言って、優斗にタオルと水を渡した。

ごめんなさいと言いながら小さくなってるマネージャーに

「気にしなくていいからね。いつものことだし!あっ、優斗の分はこれから私が準備しとくから」とマネージャーのところに行き優しく声をかけた。

「鬼…だから皆が辞めてくんだよ!もっと発言気を付けろよな~」とあっ君は笑う。

私は指差し、「優斗!5本勝負よ!」と言ってみた。

「あ?望むところだ‼篤人、審判頼むぞ」とあっさり優斗に返されてしまった。

「えーやだ。俺の相手してくださいよぉ、センパイ」と上目使いをかましてくれる可愛い私の恋人。

「あ?ふざけんなよ、てめぇ。俺が先だろうが!」と優斗がキレる。
だけど、可愛い恋人のお願いに逆らえなかった私は、

「休憩大事なんでしょう?優斗後ででいいわ。ヒロほら、早く準備して!3本ね?」

「わーい‼」と分かりやすく喜んでくれるヒロ。

私は小さな幸せを感じた。

「んだよ!恋人だからってひいきしやがって…」とかブツブツ優斗は言っていた。

私は聞こえないフリをした。

私たちは二人でマンツーマンを始めた。

ヒロの早さについていくのがやっとの私は、肩で大きく息をしながら必死で食らいついていった。

スピードは早く、抜群のコントロールで私を抜いていく。

追い付けるはずの無い差に私はため息を漏らした。

案の定、完敗だった私に、ヒロは「練習もいいですけど、たまにはちゃんと休憩時間は休んで下さいね?」と笑顔で言い残し、颯爽と休憩に入ってしまった。

悔しさだけが残った。

こんなんだから…負けるんだって。

私、これでも副部長なのに…そんなことを考えてると、涙が溢れてきた。

泣くつもりなんて一切無いのに…1度流れた涙はとどまることを知らないように溢れ、こぼれ落ちた。