背中を推された弘夢はついに、行動を起こす。

息を切らしながら、私のところへ来ると、

いきなり私の手をつかんで走り出した。

理由も何もなく。普通、皆がポカーンとするところだけど、全員理由を把握してるため、優しい笑顔で、

口パクで『頑張れ』と送ってくれた。

力が強すぎて、途中、痛いと言ってみたんだけど、連れてこられたのは公園だった。

私の手を話した弘夢は言葉を先に発するより先に、私の唇を塞いだ。

しばらく私を堪能したらしく、発した言葉は

「兄貴とどこまでやったんだ?」だった。

え?他にまず言うことあるでしょう?私は思った。

けど、無言を貫こうとすれば、また唇を塞がれる。

息できないほど苦しくて甘い。けど、少しどこか苦い…

私のファーストキスだった。

「俺はいつまで耐えればいい?いつになったら兄貴じゃなくて、俺を男して見てくれる?」と弘夢は言ってきた。

「…遅いよ…もっと早く言って欲しかった」と私は言った。

「…手遅れかな?」と少し上目遣いな弘夢。

「そんなことないよ。ずっと言って欲しかった」と私が言うと、

「じゃあ、俺の恋人になってくれる?」と弘夢が言うので、私は頷いた。

涙が頬を伝うのが分かった。

ずっと待ち続けた言葉に嬉しすぎて、涙は次から次へと溢れてきた。

「なんで泣くの?泣きたいの俺なんだけど…兄貴とはさっさと別れてよ?」と弘夢は言った。

「実はね、私優斗と付き合ってないんだよ」と私が言うと、どーゆうこと?と弘夢に言われた。

「全部嘘なの。あなたを振り向かせるために、優斗が考案した恋人のフリ。私は3ヶ月位かかるって乗ったんだけど、優斗は1ヶ月で片付けるって言ってて。それに好きな人が出来たから終わらせてくれって強硬手段に出たのが今日のデート両家の親に協力してもらったの」と私が言うと、

「じゃあ俺はずっと騙されてたわけ?俺は…美穂さんは兄貴が好きで、上手くいったみたいだから邪魔しちゃ悪いと思って控えてきたんだけどただの勘違いだったわけ?」と弘夢に言われて頷いた。

「この格好だって…ヒロとデートするために仕上げてきたんだから」と私が言うと、

「イヤな、ずいぶんキレイだなとは思ったよ?けど、大好きな兄貴とのデートだからそこまで気合い入ってるんだと思ってた」と弘夢は言った。

「ごめんね。でも、ありがとう」と私は笑った。

「で、俺のことはいつから…?」と弘夢は聞いてきた。

「去年くらいかな?自覚したのは…」と私は言った。

「…なんでもっと早く言わなかったんだろう…俺はずっと好きだった。美穂さんと初めて会ったあの日から…笑顔が眩しくて、優しくてカッコいい。皆から愛されて…羨ましくもあり、嫉妬したりもずっとしてた。兄貴も、篤人センパイも美穂さんを大事にしすぎるから…」と弘夢は言った。

私は嬉しくて、弘夢に抱きついた。

「大好きだよ」って。