なんとかお昼休みになり、私と優斗がお弁当を食べていると珍しく、教室の前が騒がしい。

ふと、教室の外を見ると、そこには、弘夢がいる。

監視でもするかのように、今日は何故か目が合う。

私と目が合うと、ふと、目をそらす。クセして、こっちに来るわけでもなく、何も言わずにただこっちを見ている。

ホントに何がしたいのか?とさえ思うけど…

弘夢の行動は全くもって読めない。

「ヒロ?こっちこいよ?」と優斗がお兄ちゃんらしく言うと、教室に入ってきた弘夢。

「どした?」と優しく聞く、優斗。

「…」無言を貫く弘夢。

少し間を開けて、「篤人さんは…」と何かを言いかける弘夢。

「篤人がどうかした?アイツなら今朝締め上げといたから、今頃大人しく反省でもしてるんじゃない?」と優斗が言うと、弘夢は唇を噛んで何も言わなくなってしまった。

それから弘夢は何も言わずに教室を去っていった。

放課後になり、部活に行ってもその状態は変わらない。

弘夢は私の方を見るだけで何にも言わなかった。

そんな日がしばらく続き、優斗とフリを始めて、3週間があっという間に過ぎた。

そろそろ動くだろうと思うものの結局動かない日々。

私も、優斗も少し疲れ始めた。とある昼休み、

「もうすぐ1ヶ月経つな。動きそうで動かないことが多々あった。もうそろそろケリつけようと思う。俺も限界が近い。好きな人が出来たんだ!そこで俺からの提案だ」と優斗は言って、あっくんを呼び、来ていた澪華ちゃんを呼び寄せた。

理由を説明し、最後の手段を取ると言い出した、優斗の提案は…

Wデートだった。入念に策戦を立てた私たちは次の休みに決行することにした。

その日の放課後は普通通りに過ごして家に帰った。

そして、私はお父さんとお母さんに今回の計画を打ち明けた。

「面白そうね!良いわ。協力してあげる」と乗っかったお母さんに対し、

「そこまでしてやらないと女一人奪えないなんて、男としてどうかと思うよ。そんなヤツが未来のダンナで後悔しないのか?お前…」とお父さんは言った。

そして、不適な笑みを浮かべ、「頑張れよ」と言ってくれた。