箕輪浩太が通う中学校は、千葉の漁師町にある。

浩太はクラスで書記をしていて、クラスメートからの信頼も厚い。

担任の女性教師、西野からも頼られていて、雑務を依頼されることも多かった。

3学期も終盤が近づいた2月のある日、西野に職員室へと呼び出された浩太は、学校指定の鞄を背負い、足を向けた。

「西野先生、どうかされましたか?」

西野の机に到着した浩太は、机に伏せる彼女を目の当たりにし、戸惑い尋ねた。

「あ、いや、少し疲れてただけ」

西野は言い、『大事な話だから』と、浩太を連れ出した。