今にも雪が降るのでは思わせる寒さと、どんよりとした空模様の12月

赤いランドセルを揺らしながら、早足で歩く私を止める声がした

「なぁ待てって」

歩くスピードに文句があるならそっちが早く歩けば良い

私は喉まで出かけた文句を飲み込んで振り向く

「なに?」

私の少し後ろを歩く男の子

濱田裕太(ハマダユウタ)

親同士が仲が良く、小さい頃から一緒

つまり

悲しいことに幼馴染という関係

「そんな急がなくてよくね?」

まったくこいつは何を言っている

あなたのせいで今、遅刻しそうになっているんだから少しは急ごうと思ってよ

「私は遅刻したくないから急ぐの、嫌なら一人で行ったら?もう6年生でしょ」

これは流石に素っ気なさすぎたか

いや、本当のことだもん

私は間違ってない

「...かわいくねぇな」

ぼそっと呟かられた言葉に身体が反応する

自分でもそんなことは重々承知だ

だが、幼心を傷つけるには十分だった

「勝手にして」

私はそれだけ言い残し、歩き出した

もう振り返らない

なんて言われたって無視しよう

そう心に決めた私には裕太の声は届かない

「くそっ...俺のどこが嫌なんだよ...」

冷たい風が吹き抜けていく

この呟きを拾えなかった自分は、まだ間違いだらけの小学6年生だった