今はただ 思い絶えなむ



「はーい。授業はじめるぞー。
ケータイしまえー教科書だせー。」

いつもの言葉から授業がはじまった。


「今日は新しいところやるぞー。
教科書の……」


先生の話を右から左に流す。
ただ板書するだけだ。


「ところで、こんな百人一首を知ってるかー



話を聞き流しすぎてなんで百人一首の話になったのかわからない。


「今はただ 思い絶えなむ とばかりを
人づてならで いうよしもがな

これを訳してみろー。当てるぞー」


えー。当たりませんように。
適当に辞書を引いてるフリをする。