ーーーーーさようなら。こんなにもあなたを好きだけど、あなたとわたしは違う...



ーーーーー行くな!頼む、行くな...










いつもの夢に出てくる相手。

海へと消えていく...


引き留める俺。

すり抜ける手...


冷たい海の感覚に意識がハッと戻る。




...!






だめだ!
死なせてはいけない!
もう二度と死なせてはいけない。

でも何故?

彼女のことは知らない。
見たこともない。

それなのに胸がざわついて吐き気もする。

完全に混乱していた。


突然の夢の続き。
何故夢の中のあの子は海へと消えた...?

何故あんなに必死に救おうとした?


わからない...!





それでも俺は、目の前の彼女を助けずにはいられなかった。


もちろん彼女も俺のことは知らないし、自殺しようとしている人間に何と声をかけていいのかも分からない。


焦っていた。

夢と現実が交差して脳内は混乱していたし、この世界にこの目の前の彼女と俺の二人きりのような気さえした。


「靴下まで濡れちゃったでしょ?」





俺の口から出た言葉は、実に突拍子もないそれだった。