「あ、じゃないわよ。っていうか渚、あんた今日顧問によばれてなかった?」


…あ。


梓に言われて思い出した。


なんと今日は顧問の先生に呼び出しを食らっていたのだった。


やばい。これはやばいぞ…。


今日がオフであることを堪能してる場合じゃない。


一刻も早く鬼顧問のもとへ行かなければ。


「ほら、顔面蒼白の渚ちゃん。あの鬼顧問の所へ行ってらっしゃーい」


梓に言われた通り、体を起こして屋上のドアに向かおうとしたその時。


「笹野いるかー?」


私でも梓でもない男性の声が聞こえた。


そして半開きのドアから出てきたのは、同じ部活の近藤颯斗先輩だった。


先輩は陸上の名門中からうちに入ってきて、今では今年の夏の大会では全国を狙えるかもと噂されてるすごい先輩なのだ。


「近藤先輩こんにちはっ」


そう、少しふざけて言ってみると、


「こんにちはじゃないだろー」


と、まるで妹を叱るように注意する先輩。