先輩、好きです。

たしかに、京果先輩ならありえるなと思ってつい笑ってしまった。


「心外だなー。何も心配することなんてないさ、颯斗君よ」


「いや、心配すぎる。心配すぎるから笹野、京果の補佐よろしくな」


傍観者のようにしていた自分の名前が不意に呼ばれ、慌てて近藤先輩の方に意識を向ける。


「えっ、私ですか！？」


「うん。頼んでもいい？」


ドキッ…。


その頼み方は反則ではないのか、いや反則だろうっ。


「は、はい…っ」


思わず返事が出てしまった。


こ、これは不可抗力だぁぁああ。


こうして、先輩の補佐を務めることになった私であった。


その後の展開といえば、やはり先輩の独自のメニューが開発されかけたが、なんとかそこをセーブし、午前中に最後に各種目ごとにミーティングが開かれた。


ミーティングでは、仕切り役の先輩を中心に各選手へのアドバイスなどを言い合う会だ。


「渚は、やっぱり体力が足りないかなぁ。フォームとかはいい感じだと思う。だから、自主練の時に体力づくりのメニューをやってみるといいと思う」