先輩は短距離の選手で、うちの学校の中でもトップクラスの速さの選手で、私が短距離で尊敬している先輩の一人だ。


もう一人は、颯斗先輩だけどね。


でも、そんな先輩からしたら、このウォーミングアップのためのメニューなんて造作もないこと。


体の温め運動にしかなっていないに違いない。


「インターバルあと2分だぞ。そろそろ準備しろ」


「「「はいっ」」」


先生の“お前ら休ませねぇぞ”感のある報告を受け、みんなが一斉にスタートラインへ向かう。


「じゃあ、先輩。次は追いついて見てみますよ」


「おっ。言うねー。じゃあ私も少しばかりギアあげちゃおっかな〜」


同級生の挑発に対し、先輩はまるで手のひらで弄ぶようにそう答えた。


かなり遊び心満載な先輩だけど、実力は本物なんだよなぁ。


私も、次の夏の大会向けて頑張らなくては!