コンコン

「ん?誰だろ?」

誰かが俺の部屋に来たから、姉ちゃんかな?と思ったら

ガチャ

「…………!」

そこにたってたのは母さんだった。

「…………何か用?」

「何か用?じゃないわよ。さっき翠から聞いたわよ。あなた……翠に告白したそうね……?私言ったわよね?あなたを家の養子にするかわりに翠には告白しないって……」


母さんの言う通りだ。俺はこの家の養子になるとき、翠をちらっとみたときがあった。俺は一目惚れだった。
それを母さんに気づかれて、「あなた……翠のことが好きなの?」と、聞かれたので、素直に「はい」と言った。すると母さんから意外なことを言われた。
「この家の養子になるかわりに、翠には手を出さない……と誓ってちょうだい。」と言われたのだ。「え?どうしてですか?」と聞くと。「当たり前じゃない。私の可愛い翠をあなたのような養子にやるわけがないでしょう?」と言われ、正直翠のことを諦めかけた。
でも、この家の養子になるということは毎日翠のことをみるということだ。当然、諦めることができなかった。


「……姉ちゃんに手出てないけど?」
俺は咄嗟に嘘をついた。でもそれはすぐにバレた。

「嘘よね?さっき翠から聞いたもの。嘘をついたって翠からなんでも聞けるのよ?」


ちっ、あのクソババア。姉ちゃんの年は20歳だが、18の俺から見たらじゅうぶんババアである。

「あーはいはい、嘘ついてすみませんでした。それで?俺のことどうするの?この家から追い出すの?」



「私は鬼じゃないもの。そこまではしないわ。」


いや、鬼だろ。俺にだけキレたら怖いし。


「じゃ、何するの?」


「追い出さないかわりに、あなた………族に入りなさい。」


…………は?いきなり何言い出すんだ?こいつは。


「……母さんは入ったことあるの?」


「ええ、あるわ。あなたが入る族は私が若い頃入っていたところよ。」


えぇ、ほんとに何言っての?この人。族に入れって……まじかよ……


「ちなみに、私総長だったから。そのときの幹部はもういないかもだけど、下っ端ならまだ何人かいるんじゃない?」


…………え?母さんが総長?まじで?まぁ、怒ったら怖いのが納得出来たけど。俺に暴走族入れ?しかも母さんの知らない人とかいるかもしれないのに?



「それマジで言ってる?」



「ええ。今から電話してあげるから、まってなさい。」


はぁ、なんでこうなるのかなぁ。俺入りたくねぇよ。


「あぁ、もしもし?そう、私よ。今そこに現総長いるかしら?いたら代わってくれる?もしもし?まさか怜?あなたが総長になったのね。これで安心して秦を預けられるわぁ。そう、新入りが2人ぐらいいくから。その2人は私の娘と息子だから、娘のほうにはくれぐれも手をださないでよ?もし手を出したら……どうなるかわかってるわね?怜が総長でよかった♪じゃ、今から行くから待ってて。」


……話終わっちゃったし。


「さぁ、秦。行くわよ。準備しててね?」


「わかったよ。」


…………いきたくねぇ。