「美咲、おつかれ!」



「あ、朔弥」




徒競走では結局、私が他を大幅にリードして余裕の1位。



続けて二人三脚も私たちのペアがダントツで1位。



さらにリレーでは、20メートル以上開いていた距離を、朔弥とアンカーの私が縮め、大逆転で赤組の勝ち。



あの時の観客の盛り上がり様は凄かった。



鼓膜が破れるところだったわ。




日陰に座って休憩していると、朔弥がペットボトルのお茶を持って来てくれた。




「...ありがとう」




冷えたお茶は、熱い体を少し冷ましてくれる。




「あの大逆転、凄かったな!ぜってーもうムリだと思ったのに!」



「まあ、当然の結果ね」




そう言ってしまう私は、きっと可愛くないんだと思う。



"かわいい系男子"なんて言われる朔弥とは、対照的だ。




「その自信たっぷりなの、美咲らしいな」




なのに、朔弥はすごく無邪気に笑った。



この人懐っこい笑顔が女子を虜にするのね、なんて思う。



...朔弥の、バカ。