「た、ただいま…!!」

「おかえり。優羽。」

クロさんと一緒に住み始めて、あっという間に1週間が経った。

帰ったら、誰かいておかえりって言ってもらえる。

慣れなくて、少しこそばゆいけど、素直に嬉しい。

何より、家賃とかお金だしてくれてるから金銭的な負担はいつもの半分。

バイトも減らせて、良いことづくめだ。

「おなか空きましたよね?ご飯作りますよ!」

「ありがとう。ごめんね。僕不器用だからご飯作れなくて。」

「クロさん…ほんと不器用でしたもんね…大丈夫ですよ!料理作るの好きなのでやらせてください!」

この前、調理を手伝うと言ってくれたから、一緒にご飯を作ったら、包丁を高く振りかざして野菜を切るし、指を切るしで大変だったのだ…

話を聞くと、どうやら包丁を使ったことがなかったらしい。

どこのお坊ちゃんだ!クロさん!!それともお母さんが過保護とか…??

「何が良いですか??食べたいもの、ありますか??」


「…んー。なんでも良いよ。優羽の作るものはなんでも美味しいから。」

そんなことをさらりと言うものだからこの人は心臓に悪い。

「そそそ、そうですか。じゃ、じゃあ、シチューで良いですか?」

「うん。大好き。やった。」

こんな無邪気に喜ぶ20代(たぶん)いるだろうか。

可愛いなこのやろう。

クロさんといると胸きゅんが止まらなくて困る。