「ま、間に合った…!」
2人分のご飯を作ったからか、始業ぎりぎり。
「おはよー!優羽!ぎりぎりなんて珍しいね!」
「はは…ちょっと訳ありでね…」
「ほんとにな。花の方が早いなんて雨降るんじゃね?」
「うるさいな!いつも髪巻くのに時間がかかるんだから仕方ないでしょ!」
駆け込んだわたしをみて、クラスメイトの杉咲花と宮本蓮が話しかけてくれる。
花と蓮とは1年の時、同じクラスになった時から仲良しで。
花は見た目ギャルだけど一途で、1年の時から蓮に片想い中。
蓮は、犬系男子で人懐っこい感じ。バスケ部所属で背が高く、密かにモテてるらしい。
「あれ?優羽、黒い髪の毛ついてる。」
「へっ、あ!」
肩についてる髪の毛を花が取ってくれて。
私は茶髪だから、確実にクロさんのもの。
「花、ひとり暮らしだよねぇ…遅れてきたらことといい…怪しいなぁ。さては男か??笑」
「まじか!聞いてねぇぞ!」
ぎくっ。
さすが花。するどい…でも見知らぬ男の人を1日泊めたなんてさすがに言えない…
「あ、えと…猫!猫の毛!ほら。髪の毛にしては細めじゃない?昨日猫、拾って。」
「なんだ、猫かよー!びっくりさせんなって。」
「猫飼い出したの?!いーなぁー!猫すき!」
今度見せて!という花に適当に相打ちを打ったところで始業のチャイムが鳴って、1日がまた始まった。
クロさんが猫っ毛で助かったけど、咄嗟に、嘘ついちゃった…。