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あの後、なんとかベッドまで運んで、なんとか着替えもしてもらって。

食欲がないって言ってたけど、薬を飲んで欲しかったから、なんとかゼリーふたくちくらい食べてもらってから薬を飲んでもらって。

おでこに冷えピタを貼り、ポカリを飲んで寝てもらっている。


わたしがお風呂から出た後、ベッドで横になっているクロさんを見ればさっきより顔色が良いみたい。

「よかった…少し落ち着いたみたい。」

汗で張り付いた髪を払おうと頰に触れたらふ、とクロさんが目を開けた。

「ゆ、う…?」

赤く火照った顔に荒い息。

潤んだ瞳。

なんだこの色気ムンムンの人は。心臓に悪い。

「く、クロさん…具合はどうですか??」

「うん…さっきより、だいぶマシ…ありがとう。」

熱があるからかな。喋り方とか、ふにゃって笑うとことかなんだか幼く見えて可愛いと思えてしまう。

「え、っと。わたし今日はソファーで寝ますからベッド使ってください。今日はゆっくり休んでくださいね。」

そう言って立ち上がれば、くん、と袖を引かれて。

「どこ、行くの…?」

振り返れば、わたしの袖を引くクロさんと目が合って。

「へ、いや、ソファーに…」

「…ここで寝れば良いよ。…一緒に。」

「へ、ぇえ!む、無理ですよ!そそそそんなの「…だめ。」きゃっ」

腕を掴まれたと思ったらぐぃっと引っ張られてあっという間にベッドに引き込まれて。

気づいたら、ベッドに押し倒されているような格好になっていて。

な、なに…?!この体勢は…!!

視界いっぱいに広がるのは、クロさんの綺麗な顔。直視出来ず視線を下にそらせば、綺麗な鎖骨に汗が伝っているところが見えて。

そこも直視出来ず横を見れば、耳元で艶っぽく「…寒いから、あっためて。」と囁かれて。

熱があるからか、温かい息がかかる。

ぞくぞく、と身体に電流が走ったような感覚。

どくどくと鳴る心臓。

「わわわ、わかりましたっ…から。み、耳元で喋らないでっ…」

必死で声を絞り出す。みっ耳は弱いんだってば…!!

「ふっ…耳弱いんだね。ん。じゃあ、寝よっか。」

「は、はい…ってわっ」

わたしの上から降りて、寝る体勢をとったクロさんだが。

今度は後ろからぎゅう、と抱きしめられる。

「この体勢で寝るんですか…?!」

「うん。だめ?抱き枕になってよ。」

「わ、わたし、抱き枕じゃないんですけど…っ」

「今日だけ、だから。ふふ、あったかい。優羽…。」

慌てているわたしを余所に、すぐに規則正しい呼吸が聞こえてきて。

寝ちゃったよ…人の気も知らないで。こんな体勢じゃ寝られないよ〜!!!