「ケホケホ…」

「大丈夫ですか?風邪ですか?」

シチューを食べ終わって後片付けをしていたら、クロさんが咳き込む。

そういえばいつもより声も鼻声のような…

「寝るとき、いつもソファーですもんね…風邪引いちゃいましたかね…」

「いや、よく風邪引くんだ。でも大丈夫だよ。」

クロさんはそう言って笑ってくれるけど、大丈夫だろうか。

10月。少し肌寒い日が増えてきた頃。

これからもっと寒くなるだろうし、

せめて、うちにお客様用の布団があれば良かったのだけど…ないし…

うーん、と悩んで

「やっぱり良くないです!今度布団買ってきましょうよ!」

ね!と強めに言うと「…うん。ありがとう。」そう言って笑ってくれた。


____次の日


学校から帰ると部屋が真っ暗で。

あれ?クロさんまだ帰ってないんだ…

とりあえず夕食の用意をしよう、と荷物を片付けてエプロンを着けた時。

ガチャ…玄関から物音がして。

音のした方を見れば、クロさんがこちらに近づいてきていて。


「あ、クロさんおかえり…」

なさい、と言った瞬間にどさ。とクロさんがわたしにもたれかかってきて。

「くくく、くろさんんんんん?!って熱(あつ)っ!」


「優羽…ケホ…だるい。」

身体が異常に熱いし息も荒い。明らかに様子がおかしくて。

「すごい熱…大丈夫ですか?!」

相当だるいらしく、立っているのもやっとな様子のクロさん。

だんだん身体にもたれかかる体重が増えていくのがわかってよろける。

このまま倒れてしまったら、女のわたし1人じゃ運べない。

なんとか自力で歩いてもらうしかない!

「く、クロさん…っ、わたし支えるので、頑張ってわたしのベッドまで歩けますか…??」

「…ケホっ、うん。ごめんね。優羽…」