その日は、雨の日だった。

朝からずっと雨が降っていて、朝は憂鬱だったけど、その日は長距離走の日だったからそれが中止になったり、数学の授業で1回も当たらなかったり、ちょっとラッキーな日だった。

そんな日。

傘をさしながら学校から帰る途中、ふ、と近所の公園を見れば…

黒い…人??


髪や服、全てが黒い。

上から下まで真っ黒な細身の人が傘もささずに立っていて。

怪しい人…??

関わっちゃダメなやつ!と見て見ぬ振りで通り過ぎようとした…が。

あーもう!気になる!!!!!

クラスでも頼り甲斐がある女子No. 1と噂のわ

たし…世話好きな自分がにくい!!←

朝持ってきたタオルをごそごそとカバンから出しその人に駆け寄る。

近くに来ると思ったより背が高い。思いっきり手を伸ばしてその人に傘をさしてあげる。

くっそぉ。この姿勢つらいぞ。

「これ!使ってください!」

風邪ひきます!とタオルを差し出しながら言うと


その人とふ、と目が合う。

うっわ…綺麗な人…

真っ黒な髪に生える真っ白な肌。

高い鼻、長い睫毛。

長い前髪から覗く目は青く澄んでいて宝石のよう。

目が青い…外人さん?でも髪黒い…

男の人のようだけど、女の人にも見える…美人すぎてやばい。

ていうか無言でそんなに顔見ないで…美人すぎて迫力が…ぱっと目を逸らしてしまう。

今絶対顔赤い。

いろんな疑問がありつつもとにかくびしょ濡れな彼?彼女?。

しばらく無言でじっ、とわたしの顔を見ていて、形の良い唇が動いたと思ったら

「…おなか、すいた…」

綺麗な声で、そう言った。

えぇ…??