「わぁ!広い。」

訳あって、ファミリータイプの部屋に住む俺に

素直に感動する尋ちゃん。

まぁ普通は、30代の独身男が……住む家の広さじゃないよな。

あえて唯ちゃんの部屋を尋ちゃんに与え

唯ちゃんには「お姉ちゃんだから貸せるよね。」とからかった。

リビングに寝てもらうか、尋ちゃんの隣に布団を敷いてもらうか

唯ちゃんの寝床を考えていたら

不安がるはずの唯ちゃんが、ウキウキし始めた。

………………??…………?……。

相変わらず謎に包まれた唯ちゃん。

理解出来ない唯ちゃんの思考は、諦めて

明日の朝イチで帰るという尋ちゃんに

「明日は幼稚園の先生達が来るんだけど、尋ちゃんに会いたいって…
前から言ってたんだよね。一緒にどう?
和君は、夕方仕事終わりに迎えに来てもらったらいいよ。
ついでに四人でご飯食べよう」と誘ってみた。

びっくりする唯ちゃんに反して、ウキウキお喜びの尋ちゃん。

「義兄ちゃん、ありがとう!!」って…。

ホント、調子のいい。

………とは言いながら、義兄ちゃんって………ちょっと嬉しい。

そうだよな。

唯ちゃんと結婚したら、尋ちゃんの義兄かぁ~

少し現実味がわいて、ウキウキする。

結婚生活を想像してたら

「義兄ちゃん、今夜はお姉ちゃんと一緒に寝てね!
尋、中から鍵をかけておくから。
ちなみに、お姉ちゃんがリビングで寝るって言ったら
『尋が申し訳なくて寝れないからダメ!』って言ってたって言ったらいいよ!」

と耳打ちしてきた。

ブッ!!

赤くなる俺に、追い打ちをかけるように

「では、お邪魔虫の尋は……部屋で良い娘で過ごします。
どんな物音にもびっくりしないから、安心してね。
……義兄ちゃん、頑張って!!おやすみ~」と言いたい放題言い部屋に入って

ガチャ!!と鍵をかけた。

…………妹が泊まってる時に、変なこと………するわけないだろう。

第一、お父さんとの約束が…………

それに先ず、唯ちゃんが嫌がる……………??

さっき、口のキスは受け入れたような…………………。

いやいや、ダメだ、ダメだ!

一人ブツブツ言う俺に

「先生?」と……パジャマに着替えた唯ちゃんが近づいてきた。

寝る準備が出来たみたいだから………………

「…………………おいで。」と

俺の部屋に連れて行ってみた。