唯ちゃんのお家に再びお邪魔すると………

中から灯りが漏れていた。

お父さんかお母さんが……別れ話をここでしてるってことはないよな?

一抹の不安を抱きながら

そっと声をかけて、中に入ってみると………

「お姉ちゃん!!」と元気な声が返ってきた。

どうやら、仕事の残っている和君に迷惑をかけないように

友達と遊ぶとウソをついて、帰ってきたらしい。

いつもは、唯ちゃんがいるから問題なかったんだろう。

…………………………。

ウチの姫が、それを聞いて置いて行ける訳がなく。

かといって、俺を一人で帰らせるのも悪いと悩むはずだ。

俺も大概、唯ちゃんを理解出来てきたなぁ。

さっき千尋ちゃんも幸せにならないと、彼女の幸せはないって………

大切にする誓いのキスをしたばかりだ。

「ねぇ~尋ちゃん。ウチに来ない?
唯ちゃんの部屋があるから、泊まれるよ。
唯ちゃんが泣く前においで。」

これは本心だ。

このまま悩ませたら、確実に唯ちゃんは泣く。

それなら、尋ちゃんを連れて帰った方がいい。

これからはずっと一緒にいられるんだから

1日くらい全然関係ない。

いつもは強引に見せてる尋ちゃんだけど

和君への気配りでも分かるように、本当は……配慮できる娘なんだと思う。

今だって、相当戸惑ってる。

男ばかりで育った俺には

この可愛い反応の姉妹を守りたいと本気で思う。

「尋ちゃんはお泊まり用意。
唯ちゃんは戸締まりをしっかりして、浴衣も忘れずに持ってくるんだよ。
俺は車で待ってるから。」

断る隙を無くしてやると、遠慮しながら動き始める。