おしゃべりしながらの花火は、あっという間で……

いつの間にかラストの線香花火になっていた。

「おいで。」

こう呼ぶと、恥ずかしがりながらも……オレの膝に来るようになった。

少しずつ飼い猫に近づいてるようだ。

「オレね…………」

後ろから抱きしめている今は、照れ臭い本音を言うにはピッタリ。

本当は大人になって欲しいと望んでないし

今のままで十分だと思っているって…。

ただ、時々どうしようもないほど焦って

プロポーズをしてみたり、コウにヤキモチを妬いて……

唯ちゃんを泣かせてしまうんだって。

だから、性教育なんて言ったけど……

本当は、そんなことをしようって考えてないよ。って…。



なのに………

「先生、先生が安心するんだったら……キスしよう。」って。

決心したっていう唯ちゃんは………狼に向かって目を閉じる。

「ホント??本当にいいの?」って確認しても

「うん!」と言って、なおいっそうギュッと瞑る。

………………………………………………。

これは、何の我慢大会なんだ???

一瞬理性が…………

「では、お言葉に甘えて。」

そう言って、顔を近づけて………

ほっぺにチュッ。

おぉ!!あぶない!

何とか理性を食い止めた。

えっ!!って驚く、無防備な顔を見ると……

『どれだけの我慢をしたと思ってるんだ!!』って…怒鳴りたくなる。