「唯ちゃん、こんにちは!」

さっきの洗い物で服を濡らした唯ちゃんは…

オレのダブダブのスエットと半パンをはいていた。

小さな唯ちゃんは………スエットだけでも十分ワンピースになったが

そんな男心をくすぐる格好をさせてしまうと……

オレの理性が、『我慢をするのは辛い』というから……半パンつきにしてみた。

お世辞にも可愛いとは言えない格好は

男心はくすぐらないが…オレの笑いのつぼは十分くすぐった。

笑いころげて唯ちゃんの反感をかっていたら………

ピンポン!!

玄関のベルがなった。

誰だ??

思いつくのは……問題児の兄貴。

普段は頼りになるんだけど………女の子が大好きなんだよなぁ~

男の人が苦手だって話してるし……

美香から…怖がってることは聞いてるはずだから………

玄関を開ける前に、唯ちゃんのヘンテコな服を着替えさせて

ドアを開くと

「わぁ……。」と小さな声をもらした唯ちゃん。

………………何か引っかかる…………。

コウといい、兄貴といい………実は唯ちゃんって………メンクイ?

変な苛つきを感じていたら………

兄貴がこっちを見てニヤニヤ笑う。

………………………??……………!!!!

目線の先は唯ちゃんのボタン。

慌てて着替えたから…ずれたみたいだ。

唯ちゃん、ボタンボタン!!

ゼスチャーで合図するも…………気づかない。

兄貴の「何やってたんだか。」のからかいに真っ赤になってうつ向く。

何にもやってない!!ってぇ~

多分………当分何もない…………………。

「アホ!!変な想像するな!」

肘でグリグリ押してからかってくる兄貴をムシして

いつまでも顔のあげられない、可愛い唯ちゃんに近づく。

「唯ちゃん、こんにちは。」

うつ向く唯ちゃんを覗き込もうとするスケベな兄貴から遠ざけて

「森 拓人。オレの兄貴で軽いやつ。近づいたらダメだよ!」と牽制する。

オレの脅しに驚いた唯ちゃんは、オドオドしながら距離をとっている。

「可愛い~!!」と気に入った兄貴は

今日見た唯ちゃんの可愛いさを……家で待つ息子の大樹と美香に話すはずだ。