なずな side

初めての縁談…緊張する。
しかも未来の結婚相手なのだ、緊張しないわけがない。

トントントン

応接室の扉が3回ノックされて開いた。

そこに現れたのは…



「か、翔さん?!」
「間宮さん?!」


なんと私と同じ鷹司学園で、1番のイケメンだと言われている、九条翔だった。

なんで、翔が?
私は彼があまり、いやとても嫌いだ。
まぁそもそも名前を聞かずに縁談に行った自分が悪いのだけれど。


「あら、お2人には言ってなかったわね、同じ学園同士、仲良くしなさいね。」

翔の母親が言う。
いや、どう考えてもおかしい。
仲良くなんて無理に決まっている、こんなチャラ男、誰が好きになるもんか。


「母さん、状況判断が全くできないんだけど、彼女と2人きりで話してもいい?」


翔…私も全く理解できてないよ。


「あら、初対面から2人きり? 最近の高校生はませてるのねぇ。」

翔は完全に勘違いしている、彼の母親を応接室から追い出し、私の方に向き直った。


「…で、なんなんだこれ?」

そんなの私が聞きたいわ!!!!

「九条翔…よね?」

「間宮なずな…だよな?」

お互いにコクコクと頷きあう。

­­いや、これじゃ埒(らち)が明かない、言うしかない。