溶けろよ、心


3日前――

「もうすぐ弟の誕生日なんだ。プレゼント買おうと思ってるんだけど、1人だと悩んで時間かかるからさ」

ショッピングモールへ向かう途中、町田くんはそう言った。

「あ、私も妹の誕生日もうすぐ!見てもいいかな?」

本当は今日1人で買いに行くつもりだった。だけど、せっかく町田くんが誘ってくれたから、その時に買おうかなって。

「うん、もちろん。橘の妹って橘に似てるの?」

「それが全く似てないんだよね。妹は天使だから」

「ははは、橘がそんなこと言うなんて意外。シスコンなんだ」

「町田くんも菜穂のお兄ちゃんになればわかるよ、絶対」

町田くんがからかうから、私はちょっといじけてみせた。

「じゃあ俺と結婚する?」

お兄ちゃんになればって……そういう意味じゃない!

私は町田くんの背中をバシンと叩いた。