溶けろよ、心

町田くんは繋がれた手をぎゅっと握った。

ドキッと胸が高鳴るのがわかる。



な、なんだろう……。

「やっぱ、もっと早く来りゃ良かったな」

町田くんはちょっぴり口を尖らせて言った。

そんな町田くんがかわいくて、私は笑顔になる。


「藤山くんより先に、俺が1番に見たかった」

なんだそりゃ。

「るいもお母さんも見てるよ」


私が笑うと、町田くんはあっそ、と言ってふてくされた感じだった。

町田くんはやっぱりかわいくて、私はまた笑ってしまう。


「なんで笑ってんだよ」

町田くんが不機嫌そうにそう言う。

「なんでもないよ」


私が町田くんの手をぎゅっと握り返すと、町田くんはバーカって嬉しそうに、表情を隠すみたいに下を向いて笑った。