「ま、とりあえずデート楽しんでね〜」

「だからデートじゃ……」

るいはひらひら手を振って、自分の席に戻って行った。

今週末か……。

晴斗以外の男子と2人だけで出かけるのは初めてだ。服装はどうしよう。何を持っていけばいいんだろう。少し緊張する。

だけど、ちょっぴり楽しみな自分もいた。



ケータイがブーッと音を立てた。メールだ。

『町田です。
土曜11時、〇〇駅に集合!
見たい映画あれば、なんか言って』

見たい映画…?
あ、この前読んだ小説の実写版が見たいかも。

『橘です。
ナオミ・ワンダーランドが見たいです』

『了解!橘が乗り気そうで良かった』


ううん、見透かされてる…恥ずかしい。


ケータイの画面を眺めながら、口角が上がらないように眉間に皺を寄せて誤魔化してみた。