溶けろよ、心



少しだけ日は落ちて涼しい。

それでも熱さの残るアスファルトの上を私たちは歩いている。



「あ、えっと、数学!町田くんのおかげでできるようになってきた!ありがとう」


私から誘ったんだから私が話を振らないと。

そう思って勇気を振り絞ってみた。


少し、挙動不審な感じになったけど。



「ははっ、それはよかった。またいつでも」


町田くんはそう言ってから、何かを考えるように目を泳がせた。


「真由さ…」


「うん?」


「…んー、いや、なんでもない」


町田くんが少し寂しそうに笑う。