"隼人"と呼ばれた彼は、私に気づいてびっくりした顔をした。
そして私のもとに駆け寄ってきてくれる。
「どうした?」
「あ、えっと…」
いざ言おうとすると上手く頭の中でまとまらない。
「なあに〜隼人!告白?」
さっきの女の子が町田くんに飛びついて顔を覗き込みながら言う。
彼女が町田くんの肩に手を置いたのが気になった。
「もう、小池ちゃん。向こう行ってて」
「はーい」
町田くんになだめられ、"小池ちゃん"は口元を尖らせた。
私のことを見て、下唇を噛む。目にはうっすら涙が溜まっていた。
ああ、この子も町田くんが好きなんだ。
好きすぎて辛いんだ。
