沈黙の最中に晴斗が突然声をあげる。
「何が?どうしたの?」
町田くんがどうしたんだろう。
「いや、なんか町田がすごい勢いでメッセージのスタンプ送ってきてる」
「ええ?どうして?」
「知らね。たぶん真由と同じ用だろ」
私と、同じ用…?
「じゃあ、切るな。アタック頑張れ〜」
「…またね。おやすみ」
アタック、か。
今までにしたことのないことだ。
晴斗とは、幼なじみだという秘密を持っているだけで満足してしまっていたから。
「あ、真由」
「なに?」
「タイミングはさ、自分じゃ決められないから」
晴斗はさっきとは違う真剣な声色で言った。
「真由が今、町田を好きになるっていうのは、もうずっと前から決まってたんだよ。
真由が町田に出会う前から。もちろん、真由と俺が出会うよりも前から」
「私と晴斗が出会うよりも前から……」
「うん。仕事を始めてみて、余計にそう思った。だから自分を責めたりしないで。自分の気持ちに正直に。俺たち、絶対後悔しないようにしよう」
「そうだね。ありがとう」
