9月の今日は、窓を全開にしていてもまだ暑かった。 机をくっつけて町田くんと向き合う形で座る。 緊張するけど、数学をできるようになりたい。 町田先生の説明は丁寧でわかりやすい。 一度説明されると、すぐにその仕組みがわかる。 「やっぱ真由はできるんだって。俺いる?」 「全然だよ!私1人じゃほんとお手上げって感じで」 「そう?」 "真由"…。 あまりにも自然に名前を呼ぶから、あとからビックリがくる。 「うん。町田先生のおかげ〜」 「いじるね〜」 町田くんはちょっと恥ずかしそうに笑った。