溶けろよ、心



「ま、町田くん……!?」


振り向いて少し目線を上にずらすと、額にうっすら汗を浮かべた町田くんがいた。



「どうしたの?」



「あ、いや……」



町田くんが首元に手を当て動揺する。

私は町田くんから体を離して向き合った。


「えっと……ちょっと待って。

何しに来たんだろ、俺」


町田くんは頭の中を整理するように、俯いて考えこんだ。



どうしたんだろう……?



「……今日、一緒に帰れる?」



町田くんと、目が合った。

刺すように視線が熱い。




私は頷いた。

町田くんは逃げるように戻っていく。



心臓が張り裂けそうなほど脈を打っておさまらない。



藤山くんに何度も何度も呼ばれていたのに気づかないほど、私は頭がぼんやりしていた。