溶けろよ、心






「い〜や〜いけると思ったんだけどねえ……」


閉会式が終わった。これから後片付けに入る。

俺たち白組はあと一歩優勝に届かず、クラスメートは皆悔しがっている。



「なあ!」



「ああ、だな」


友人から肩を組まれた。
上の空で同意をし、俺はクラスの集まりをこっそり抜けた。


早く橘に会いたかった。



「おい町田、どこ行くんだよ!」


「悪い!すぐ戻る!」


後ろからの声に謝る。



俺は本部テントまで走った。




「はあ……はあ……」


心臓が痛む。




「……あっ」





見つけた。
ゆっくりと、足を止める。


橘はマイクのコードを巻いている。


「たちば…」



呼びかけようとしたその時、橘の隣に人影を見た。

藤山くん……。