「成績発表」 慣れてきたようで、橘の声が落ち着いてきているみたいだ。 ピンと伸びた背中。 マイクのスイッチにかかる指先。 今日もひとつに束ねられた髪。 原稿と宙を行ったり来たりする少し潤んだ視線。 あがり症で人見知りな彼女があの場にいるのには、ものすごい勇気がいったに違いない。 まさかもう一度、橘の放送が聞けるとは思わなかったな。 頬が緩むのを必死でこらえた。