溶けろよ、心





「町田〜!すげえじゃん!」



「ほんとに速かった!」



「かっこよかったぁ!」



走り終えたグラウンドで、クラスメートからもみくちゃにされる。


「やめろって〜」


満更でもなく拒絶してみる。




ビブスやバトンを回収され、もうすぐ閉会式だ。

俺はふと橘の席の方に目を向けた。


いない……?




全校生徒が入場門に整列し始める。

いくら見ても橘の姿がない。


隣のクラスの列を前から後ろまで丁寧に見ていく。


「町田どうした?キョロキョロして」


「ああ、いや。なんでもない」



あまりにも探しすぎてクラスの友人に怪しまれてしまった。




「並んで〜入場するよ!」


委員が声をかけ、グラウンドに生徒たちが整列し始める。



橘、どこに行った?

もうすぐ式が始まる。


自分のブロックが勝ってるかどうかよりも、とにかく橘の居場所が気になった。